最近では、日本でも転職は一般的になってきており、皆様の日常のワンシーンになってきているものと感じます。
私も人事部で業務を行っておりますので、1年を通して頻繁に入退社の手続きを行っております。
手続きしている中で、あ~あと1日早く退職してればなぁと思うことがよくあります。
そこで今回は、退職日によって異なる社会保険料の天引きについてご紹介させていただきたいと思います。
退職時の手続き

まず退職時の手続きについて確認していきましょう。
・社会保険の喪失
⇒厚生年金保険、健康保険ともに退職する会社のものは喪失になります。そして状況に応じ、転職先の社会保険へ加入。退職後、働かない場合は、ご自身で国民年金、国民健康保険へ加入もしくは、ご家族の扶養に入る 等の選択肢があります。
・雇用保険の喪失
⇒社会保険同様、退職する会社の雇用保険は喪失となり、転職先の会社で雇用保険へ加入、もしくは失業給付を受給 等の選択肢となります。
・所得税
⇒退職する会社で年内に受給した給料分の源泉徴収票を出力してもらい、転職先の会社での年末調整時に提出する。退職後、働かない場合は、ご自身で確定申告を行います。
・住民税(前年1月~12月の所得を基に6月~翌年5月までの12ヵ月を給与から控除される)
⇒1月~5月までに退職の場合、最後に支給される給料から残額が控除されます。
6月~12月の間で退職の場合⇒年税額のうち未納付の住民税納付書がご自宅へ届きますので転職先にて給与天引きにしてもらうか、ご自身で納付するかどちらかになります。
社会保険料の控除について

具体的には
①4月分給与が4月25日支給の場合⇒給与から控除されている厚生年金・健康保険料は3月分が控除され、雇用保険料、所得税、住民税は4月分が控除されております。
②4月分給与が5月10日支給の場合⇒5月10日支給の給与から控除されている厚生年金・健康保険料及び雇用保険料、所得税、住民税は4月分が控除されております。
つまり入社当初の給与は①の場合⇒厚生年金・健康保険料は控除されず、雇用保険料、所得税、住民税のみが控除されます。
②の場合は入社当初の給与からすべて控除されます。
★そして厚生年金・健康保険料の2つに関しては、月末時点で会社に在籍している場合にのみ控除されます。
つまり、月の途中で会社を退職した場合、退職した会社の給料からは上記の2つに関しては控除されません。(※①の場合、月末に退職した場合、2か月分の厚生年金・健康保険料が徴収されることに注意)
⇒転職先の会社での給与から控除(転職先での取得時決定に応じた金額) もしくは、ご自身で加入した国民年金、国民健康保険料の支払いが必要になります。
それは賞与に関しても同様となります。
つまり
6月10日に賞与が支給され、6月29日に退職した場合⇒厚生年金・健康保険料は控除されません。なお、6月30日から違う会社に転職した場合でも保険料が取られることはありません。
逆に6月10日に賞与が支給され、6月30日に退職した場合⇒厚生年金・健康保険料はしっかりと控除されます。
賞与から控除される社会保険は、支給総額の千円未満切り捨てた額の約15%程度です。
仮に総支給100万円の場合、手取り額だと大幅に変わってきます。
※雇用保険料、所得税は額に応じて控除されますのでご注意ください。
次の賞与における厚生年金料と健康保険料が及ぼす影響を鑑みて色々なことを決定されるといいかもしれませんね^^

厚生年金・健康保険料の影響
・厚生年金・・・月々の厚生年金の控除額+賞与から控除される金額に応じて将来貰える年金額は変わります。
⇒つまり、上記のように賞与から厚生年金が控除されない場合は、将来の年金額にかかわります。
◆厚生年金の将来の受給額については以下の通りです。簡単ですがおおよその支給額でも把握していただけると幸いです。

※平均標準報酬月額・・・
平成15年3月以前の期間で厚生年金保険料を納めた各月の標準報酬月額の総額を加入期間で割った金額
(平成15年3月以前は賞与から厚生年金保険料は控除されておりませんでした)
※平均標準報酬額・・・
平成15年4月以降の期間で厚生年金保険料を納めた各月の標準報酬月額+標準賞与額の総額を加入期間で割った金額
・健康保険料・・・月々の健康保険料に応じて、私傷病による休業の場合に支給される傷病手当金の金額がかわります。
⇒しかし、賞与で控除される健康保険料は何にも関係ない。結果として健康保険組合等への寄付金と同じということになってしまいます。
健康保険料もったいないですね。。。
まとめ
賞与支給月の月途中で退職した際は賞与からの控除額が少ないため、手取りではとても多くなります。
厚生年金は将来返ってきますが、健康保険料は返ってきません。
しかし、年金が将来受給できる保証は実際ないですよね。。。
退職日が1日異なるだけで、控除されるものは大きく異なります。
もちろん、転職や退職に際し、控除される社会保険料より大切なことは他にたくさんあるかと思いますので、あくまで予備知識として知っておいていただければ幸いです。