平均賃金と給付基礎日額の違い

人事労務関連

人事総務の担当者として働いていると嫌でも耳にする平均賃金と給付基礎日額というワード。
実際に使い場面や計算方法、それぞれの違いなど、把握しておくに越したことはないです^^
今回の記事で人事労務として一つ知識を付けていただけたらと思います。

平均賃金について

平均賃金とは

労働基準法等で定められている手当額や補償額を計算する際に使用する、おおよその一日あたりの給与額のことを示します。

平均賃金の計算方法

平均賃金を算定すべき事由が発生した日以前3ヵ月間(当日は含めない)に支払われた賃金の総額を、その総日数(休日も含めます)で除した金額となります。

★賃金締切日がある場合、該当の賃金締切日ごとに直前の賃金締切日から起算し、3ヵ月を計算する

☞具体的には
7月16日に労災事故発生 給与の締切日が末日 通勤費の締切日が15日
⇒6月30日から3ヵ月遡った期間の給与+7月15日から3ヵ月遡った通勤費をそれぞれの総日数で控除した額が平均賃金になります

★賃金総額に含めないもの
・臨時に支払われた賃金(慶弔金、見舞金、退職金 等)
・3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(※四半期ごとに支払われる賞与は賃金総額に含めます)
・現物給与(食事、住居 等)

★3ヵ月間に含まれない期間
以下の期間中を含めると平均賃金が低くなる可能性がある為、日数と賃金を平均賃金算定から控除します。
・業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間
・産前産後休業期間
・使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
・育児休業期間
・介護休業期間
・試用期間

雇い入れ後3ヵ月未満の場合はどうすればいいの??

A.雇い入れ後の期間と賃金総額で計算すればいいよ💡

試用期間中に平均賃金を計算しなければいけなくなった場合はどうするの??

A.その場合は、仕方ないから試用期間中の期間と賃金で計算するんだよ💡

平均賃金が使用される場面

・解雇予告手当・・・労働者を解雇する際に必要な予告の代わりとなる手当(平均賃金の30日分以上)

・休業手当・・・使用者の都合の休業の場合に必要となる手当(平均賃金の60%以上/日)

・有給休暇中の賃金・・・有給休暇使用の際の賃金計算方法を平均賃金の支払と取り決めた場合(労使協定締結が必要)

・労働災害の補償額・・・業務上負傷した際に会社側が労働者に支払わなければならない補償額(平均賃金の60%(休業3日目まで))

・減給制裁の制限額・・・1回の制裁額は平均賃金の半額かつ制裁額の総額は支払賃金総額の1割まで

・じん肺法第22条による転換手当(平均賃金の30日分または60日分)

平均賃金が使用される場面っていいことが発生した時ではないことばかりですので、特にミスをしないようにしないといけないですね(-_-;)

給付基礎日額について

給付基礎日額とは

業務上の災害により労災保険から給付が発生する際に使用し、休業給付、障害給付、傷病年金 等の金額算定の基礎となるものです。
基本的には平均賃金の労災保険バージョンで中身はほとんど同じだと思っておいていただければ大方問題はないです。

給付基礎日額の計算方法

計算方法、賃金締切日の考え方、賃金に含めないもの、3ヵ月に含めない期間について平均賃金と同様の計算方法となります。
ただ、計算途中で出てくる端数処理に関しては、端数を1円に繰りあげます。
※平均賃金の場合は1銭未満切り捨てとなります。

☞具体的には
3ヵ月間の賃金総額が90万円、日数が91日の場合

★給付基礎日額の場合
90万円÷91日 ≒ 9,890円10銭 ⇒ 9,891円が給付基礎日額となる
⇒9,891円 × 60/100 ☜この額の1円未満の端数を切り捨てする

★平均賃金の場合
90万円÷91日 ≒ 9,890円10銭 ⇒ 9,890円10銭が平均賃金となる
⇒9,891円10銭 × 60/100 × 日数 ☜この額の小数点以下を四捨五入する

給付基礎日額に特有のこと

年齢別の上限額・下限額が存在する

⇒療養開始後1年6ヶ月経過後に支給される休業(補償)給付に適用される
⇒年金給付(障害補償年金、傷病補償年金、遺族補償年金)には1年6ヶ月を待たずして、当初から適用される

※厚生労働省HPから引用

■休業補償給付のスライド
四半期ごとの平均給与が±10%を超えて増減した場合に発動し、厚労大臣が定める率を乗じた額を改定後の給付基礎日額として、休業補償給付の金額を算定します。
なお、改定は±10%に該当する四半期の翌々四半期から改定スタートします。

■年金のスライド
給付基礎日額の年度ごとの平均給与額の変動率を基準に、厚労大臣が定める率を乗じた額を給付基礎日額として、年金給付の金額を算定します。
(休業補償給付の場合と異なり±10%は関係なく必ず改定されます)
なお、改定はその年度の翌々年度から改定スタートします

最低限度額が決められている

給付基礎日額についてはスライド後の額が下限価格(自動変更対象額)に満たない場合、下限価格を給付基礎日額として休業補償給付や年金額を算定します。

まとめ 平均賃金と給付基礎日額の違い

・給付基礎日額には下限額が存在する
・計算過程で出てくる端数処理の方法が異なる
・給付基礎日額には年齢階層別の上限額・下限額及びスライド制が存在する

今回は平均賃金と給付基礎日額の違いについてまとめさせていただきました。
労災関連は細かな決まりが択さなる為、とても複雑です。人事総務担当者として大枠でもいいので把握していると大きなアドバンテージになるかと思います。

言葉を知っているというだけでも全然違いますよ^^

まずは語句から!

この記事を読んでくれた皆様が最強の総務人事担当者になれますように!!

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