業務中の災害は様々な状況で発生します。軽度なケガで済むこともあれば、休業が必要となる重度な災害まで本当に多種多様です。
特に休業が発生した場合、会社側で行わなければならない手続きが煩雑になります。特に労災から支給される休業補償給付と安衛法で義務付けられている死傷病報告書では休業のカウント方法が異なってきます。
皆様もうっかり法令違反にならないよう正しい知識を付け、万が一の際に適正な対処ができるようにしてください。
労災が発生した際の手続きについては以下にてまとめておりますので、合わせてご確認ください。
後ほど出てくる私傷病報告書の提出スケジュールについてもまとめております☟☟☟
労災時の休業とは
休業には会社都合によって労働者に働く意思があるにもかかわらず働けなくなってしまった場合と自己都合により休業する場合があります。
さらに会社都合の休業の場合には、労災発生に伴う休業とそれ以外の会社都合による休業(経営難により労働者を働かせることができない場合等)があり、労災発生の場合は会社は労働者へ休業補償をしなければなりません。それ以外の会社都合による休業の場合は休業手当の支払いが必要になります。
以下、労災発生時に休業に該当する要件となります。
・業務上、負傷し治療していること
・働けない状態であること
・賃金を受けていないこと
上記の要件に当てはまる場合、休業3日目までは会社が4日目からは労災保険から休業補償がされます。

休業補償給付(労災保険)での休業について
労災事故による休業のカウント方法については以下の通りとなります。数パターンの可能性がありますので、一通り押さえておくと安心かと思います。
1.所定労働時間内に災害が発生し、直ちに病院にて受診後、そのまま休業した場合
・・・災害発生当日から休業日数をカウントします
2.所定労働時間内に災害が発生し、就業時間後に病院で受診後、そのまま休業した場合
・・・災害発生翌日から休業日数をカウントします
3.残業中に災害が発生し、その後、病院へ受診し、そのまま休業した場合
・・・災害発生翌日から休業日数をカウントします
4.所定労働時間内もしくは残業中に災害発生し、後日、病院を受診し、そのまま休業した場合
・・・初診日が所定労働時間内であれば初診日からカウントし、所定労働時間外であれば翌日からカウントします
※休日が絡む休業に関しては少々扱いが複雑になりますのでご注意ください。
まず、注意事項として以下の2点を押さえておきましょう。
★休日でも休業に該当する場合は休業日数にカウントします。
★休日でも休業している期間は、休業補償の必要があります。
☞具体的には以下の通りです。

☞上記【図1】①の場合 【土日休みの会社で12日の所定労働時間内に労災が発生したと仮定】
直ちに病院を受診し12日~15日まで休業し16日から職場復帰
⇒12日の所定労働時間内に労災が発生したため、12日~15日の4日間の休業となります。
☞上記【図2】②の場合 【土日休みの会社で23日の残業中に労災が発生したと仮定】
退社後すぐに病院を受診し24日は休業し、25日は出勤、26日~28日は療養のために休業し、29日の休み明けから職場復帰
⇒23日の残業中の負傷であったため、24日と26日~28日の計4日間の休業となります。
死傷病報告書での休業について
死傷病報告書での休業は、所定労働時間内の災害かどうかに関わらず、翌日から休業日数をカウントします。
同じ休業でも根拠となる法律が異なるので、考え方も少し異なります。ややこしいですね。。。
しかし、所定休日の扱いについては休業補償給付と同様の扱いになります。
☞具体的には以下の通りです。
☞上記【図1】①の場合⇒12日は休業に含まず、13日~15日の休業3日となります。つまり死傷病報告書の様式24号を労基署へ提出しなければなりません。
☞上記【図2】②の場合⇒休業補償の場合と同様に休業4日となります。つまり私傷病報告書の様式23号を労基署へ提出しなければなりません。
まとめ
休業のカウント方法に関しては、休業補償と死傷病報告書で考えが異なります。
重ね重ねになってしまいますが、
★休業補償の場合、所定労働時間内であれば災害発生日を含む
★死傷病報告書の場合、所定労働時間内であっても翌日からカウントする
休業日数の誤りは、労働者の補償にも関わってくる非常に重要な誤りになりかねません。
この記事を読まれた方の知見が少しでも広がれば幸いです^^
管理部門は会社を支えるとても重要な部門です。受け身の仕事だけじゃなく、やれることはたくさんあります!!
皆様が、人事総務の担当者として飛躍することを願ってます!!